不細工芸人と言われても
接近を試みるも中途半端
次の撮影は、二本撮りだ。
来週、俺が海外ロケに行くため、前倒しでまとめて撮るのだ。
たまにスケジュールの関係で、こうなるのだが、ハイテンションを持続して二本分撮影するのは結構骨が折れる。
一本撮った後で、俺も相方もグッタリ。 無言で楽屋で弁当を食べ、相方は、楽屋の座布団を枕にしてサッサと昼寝を決め込む。
俺は缶コーヒーを持ってスタジオの外に出て、中庭のベンチにどかっと脚を広げ、ホゲーっと空を見上げる。
雲一つない快晴だ。
そんな時、ヒョコッと上からカホの顔が覗き込んだから、俺はめちゃくちゃびっくりして、シャンっとしてベンチに姿勢良く座りなおす。
カホは、そんな俺を見て笑い出し、
「ごめんなさい、びっくりさせちゃいました?
先日は、送っていただいてありがとうございました。」
コロコロと笑うカホは、今日も相変わらずボーイッシュなんだけどかわいい。
大きめのグレーの切りっぱなしのトレーナーにホワイトデニム。
でも、衿ぐりが少し広めで、鎖骨が見えて少しだけフェミニンなところが見え隠れするところが罪だ。
そこに華奢なシルバーのシンプルにKのアルファベットのネックレスがキラリと見えて、それも絶妙だ。
こうやって話しかけてくれるのが嬉しい。
俺は少し胸の奥がキュンっとなるのに気が付く。
こりゃ、やべえ。俺は彼女を好きになりかけてんのか?
カホは、次の出演者の衣装替えのスーツやらシャツが入ったハンガーを両肩にかけるようにして持っている。
「持ってくの? 手伝おうか。」
そう言いながら俺は、カホの右肩にかかっていた方の衣装を奪うように取って、担ぐ。
「うわ、すみません!いや、高岡さんに手伝ってもらっちゃったら、私怒られます。」
「いいのいいの。ご近所のよしみね。」
「すみません。ありがとうございます。高岡さんってやさしいな。」
「誰にもやさしいわけじゃないよ。若い女の子は好きだから。」
カホは笑って
「いや、高岡さんは、おじいちゃんだったり、おばあちゃんだったりしても、運んでくれるような人だと思いますけど。」
「ああ、老人には優しくしないといけない。人生の先輩だからな。」
ヤバい、もうこれだけで2本目も順調に気分良く撮影できそうだ。
またにやけそうになるのをこらえて、つい無口になってしまう。
並んで歩いているのに、やっぱり気の利いたおもしろいことも言えなくなってしまい、無言になってしまう。
でも、救いなのは、カホはあまりそんなことは気にしていないように俺の隣でまっすぐ前を見つめ歩いている。
ふと急にカホが、思い出したように口を開く。
「高岡さんは、あのマンションの何階に住んでるんですか?すっごい高層階?」
「うん、23階。」
「えー!すごい!夜景とか綺麗なんでしょうね。」
遊びに来る? なんて言ったら、下心ミエミエのオッさんだよな。言えねえな。
「住むところなんて事務所がサッサと決めてお前ここ入れっていう感じで言われるがままだからね。」
「今度、お部屋見学行ってもいいですか?」
…………え、それ、冗談で言ってんだよな。 すぐに返せない俺は芸人失格だ。
言葉に窮していると、カホはあははと笑って
「あ、ダメか。どこかのオネエちゃんと鉢合わせになっちゃったら困りますもんね。」
「アホか。」
俺はドサクサに紛れてカホの頭をくしゃくしゃとして突っ込む。
一度、触れたかったんだ。
カホのそのふわふわしたショートボブの髪の毛。
精いっぱいのスキンシップ。 お近づきになりたいがために、ちょっと乱暴に突っ込む。
来週、俺が海外ロケに行くため、前倒しでまとめて撮るのだ。
たまにスケジュールの関係で、こうなるのだが、ハイテンションを持続して二本分撮影するのは結構骨が折れる。
一本撮った後で、俺も相方もグッタリ。 無言で楽屋で弁当を食べ、相方は、楽屋の座布団を枕にしてサッサと昼寝を決め込む。
俺は缶コーヒーを持ってスタジオの外に出て、中庭のベンチにどかっと脚を広げ、ホゲーっと空を見上げる。
雲一つない快晴だ。
そんな時、ヒョコッと上からカホの顔が覗き込んだから、俺はめちゃくちゃびっくりして、シャンっとしてベンチに姿勢良く座りなおす。
カホは、そんな俺を見て笑い出し、
「ごめんなさい、びっくりさせちゃいました?
先日は、送っていただいてありがとうございました。」
コロコロと笑うカホは、今日も相変わらずボーイッシュなんだけどかわいい。
大きめのグレーの切りっぱなしのトレーナーにホワイトデニム。
でも、衿ぐりが少し広めで、鎖骨が見えて少しだけフェミニンなところが見え隠れするところが罪だ。
そこに華奢なシルバーのシンプルにKのアルファベットのネックレスがキラリと見えて、それも絶妙だ。
こうやって話しかけてくれるのが嬉しい。
俺は少し胸の奥がキュンっとなるのに気が付く。
こりゃ、やべえ。俺は彼女を好きになりかけてんのか?
カホは、次の出演者の衣装替えのスーツやらシャツが入ったハンガーを両肩にかけるようにして持っている。
「持ってくの? 手伝おうか。」
そう言いながら俺は、カホの右肩にかかっていた方の衣装を奪うように取って、担ぐ。
「うわ、すみません!いや、高岡さんに手伝ってもらっちゃったら、私怒られます。」
「いいのいいの。ご近所のよしみね。」
「すみません。ありがとうございます。高岡さんってやさしいな。」
「誰にもやさしいわけじゃないよ。若い女の子は好きだから。」
カホは笑って
「いや、高岡さんは、おじいちゃんだったり、おばあちゃんだったりしても、運んでくれるような人だと思いますけど。」
「ああ、老人には優しくしないといけない。人生の先輩だからな。」
ヤバい、もうこれだけで2本目も順調に気分良く撮影できそうだ。
またにやけそうになるのをこらえて、つい無口になってしまう。
並んで歩いているのに、やっぱり気の利いたおもしろいことも言えなくなってしまい、無言になってしまう。
でも、救いなのは、カホはあまりそんなことは気にしていないように俺の隣でまっすぐ前を見つめ歩いている。
ふと急にカホが、思い出したように口を開く。
「高岡さんは、あのマンションの何階に住んでるんですか?すっごい高層階?」
「うん、23階。」
「えー!すごい!夜景とか綺麗なんでしょうね。」
遊びに来る? なんて言ったら、下心ミエミエのオッさんだよな。言えねえな。
「住むところなんて事務所がサッサと決めてお前ここ入れっていう感じで言われるがままだからね。」
「今度、お部屋見学行ってもいいですか?」
…………え、それ、冗談で言ってんだよな。 すぐに返せない俺は芸人失格だ。
言葉に窮していると、カホはあははと笑って
「あ、ダメか。どこかのオネエちゃんと鉢合わせになっちゃったら困りますもんね。」
「アホか。」
俺はドサクサに紛れてカホの頭をくしゃくしゃとして突っ込む。
一度、触れたかったんだ。
カホのそのふわふわしたショートボブの髪の毛。
精いっぱいのスキンシップ。 お近づきになりたいがために、ちょっと乱暴に突っ込む。