不細工芸人と言われても
「ね、どこ行くの?」
「伊豆の奥地」
カホは、ワクワクした顔をさせて
「なんでまた?」
「なんとなく。仕事で行った中で、良いところだったし、ちょっとした逃避行。 いつか誰かと来たいって思ってたからさ。」
誰かって、ほんとはカホの顔が浮かんだんだけどな。
まあ、夢が叶ったっていうわけだ。

「素敵すぎる。」
カホは目をうるうるさせて全身で喜びを表す。
こんなに喜んでくれると、神に感謝しかない。
ダメ元であの時温泉行こうと言った俺はグッジョブとしか言いようがない。

「運転、私できないよ。」
「いいよ。俺、運転好きだから。」
「でも疲れちゃうよ。高岡さんだけが。」
「大丈夫だよ。」
「高岡さんは、やさしいしなんでもできて格好いいな。」
「はは。カッコいい?俺が? お世辞でも嬉しいよ。」
「高岡さんは実はすっごくモテるのに、気がつかないふりして、優しさだけ振りまいて罪な男だ。」
「俺は遊び人じゃないぞ。」
「でも、キャバクラと風俗は好き。」
「まあ、デザートだからな。飲んだ後の仕上げだよ。」
「おっぱいは、プリンか?」
「おまえは、おっぱいゆうな!」
「ああ、なんかお腹すいた。」
「プリンから、そっちに飛んだな。」
「お昼なに食べますか? 」
「うーん?プリン?」
「それはヤダ。」

くだらない話をしながら、カホとドライブをするだけでこんなに楽しいとは。
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