不細工芸人と言われても
「マジかよ。おまえ、そこ〜?って感じのフェイントだよな。」
カドスケは、信じられないと首を振る。
「俺は、ぜんっぜんわからなかったぞ。いつから付き合ってたんだ。」
「いつ…………? いや、付き合うとかそういうのはない。」
「えええ?0日婚か!?」
「いや、そういうんでもなくて。なんつーか仲は良かったけど。」
「ええ!?そんなのもおくびにも出さなかったじゃないかよ。」
「そうかな。普通にしてたよ。」
「なんなんだよー。カホもカホだろ?なんで高岡なんだよ。まだ若いだろ?こんな奴で手を打つことないだろーに。」
「うるせーボケ!しれっとものすごい酷いこと言うんじゃねーよ。」

「でも、なんかこうさっき入ってきた時、いつもとなんか違うなって思ったんだよな。」
「何が?」
「お前の雰囲気がさ。」
「どういう風に?」
カドスケは、うーん、、と首を傾げて
「なんとなく?まあ、腹をくくった男の顔は劇的に変わるんだな。」
「なんじゃそりゃ。」
カドスケはニヤニヤして
「まあ、いいんじゃないの? しかし、ノーマークだったよなぁ。 ぜんっぜんそんな素振り見せなかったじゃん。」
相変わらず、話が飛ぶやつやなあと思いながら、打ち合わせの準備を始める。
まだその話題を続けたそうにしていた相方だったが、現場のスタッフが準備できたと俺たちを呼びに来て、そこで会話は終わった。
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