最後の手紙
1.出発ロビー
「葉月さん、来てないですねぇ」
桂木城が楽しそうにそう言った時、そこにいた人間すべてが、きっと悔しいと感じたに決まってる。
それは誰もが口にしたがっていた言葉。
誰もが、いつ言うのが最も効果的なのか、ずうぅっとはかっていた、隆一朗が姿を現したその瞬間から、みんなで牽制し合っていた言葉なのだから。
だがしかし。
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