最後の手紙
本日成田空港よりアメリカ合衆国のどこだかに旅立ち、この先二年やそこらは戻らない予定の松宮隆一朗は、いいかげんにした方がいいくらい大勢の見送りの人間の中に『彼女』の姿がないことを後輩に指摘されても大幅な動揺は見せなかった。

 いつものように、ふざけて笑う。

大幅にふざけて、さみしそうな顔をして。


「来てくれないでしょ、葉月ちゃんは」
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