次は笑顔で
中学3年生、6月。

暑い。

私は吹奏楽部の練習や体育祭の準備、受験勉強で忙しい。

1学期の後半。朝起きて学校。授業が終わったら夏のコンクールに向けて部活。部活が終わったら夜まで塾。家に帰ってもご飯を食べてお風呂に入り寝るだけだ。

正直忙しいし大変だ。

見たいドラマもあるし、ゆったりしたい。

遊びたい。

でも時間が足りない。

唯一の楽しみは学校の登下校での友達との会話。

「のあ、おはよ〜!ちょっと待ってて!」

私は家からすぐの友達の家に行く。

あみが朝行った時に準備ができてることはほとんどない。

「早くしないと遅刻しちゃうよ〜」

これがいつもの毎日の会話だ。

学校まで2人で行く。

「そいえばゆうくんとはどうなの〜?」

私はSNSで知り合った男の子と最近連絡をとっていた。

「んー普通に家帰った時に少し話すくらい」

「好きとかないの〜?」

「しばらくそういうのはいいよ。忙しいしさ」

「へぇ〜いつまでそういられるかな〜?」

ゆうくんは2歳年上の高校生。

住んでる場所が近いけど会ったことはないし、正直SNSで知り合った人と会う勇気は私にはない。

話してて優しいとは思うけど好きとかではないしね。

ゆうくんと知り合ったのは2か月くらい前。

夜にはやと先輩の配信を見てた時にコメントしてた。

先輩はその時期暇してたから毎日のように配信してて、仲良いからコメントで話してただけだ。

先輩の学校の友達がゆうくん。

いつも配信に来て3人いることが普通になっていた。

その時は何も話してなかったんだけど、はやと先輩が私の写真を学校で見せたみたいで、ゆうくんからメッセージが届いた。

   のあ可愛いね!

それがゆうくんの最初のメッセージだった。

こいつ、顔で判断するんだって思った。

そういうの好きじゃない。

返さないのも面倒だし、ありがとうございますって返しておいた。

相手からメッセージが来るから適当に返してた。

自分で言うのもあれだけど、顔は普通よりちょっといい方だと思う。

彼氏もそれなりにできたことあるし。

性格は女子っぽくないし可愛くはないけど。

先輩も学校があって夜配信してるから塾が終わってからそれを見ながらお風呂に入るのが日課だった。


「今日も疲れたね〜」

あみと一緒に帰ってる。

「今日塾休みだから久々にゆったり帰れるー!」

「コンクール近いし頑張らなきゃ〜」

「今帰ってる途中だけど、もうすでに明日の学校だるすぎて帰りたいわー」

「それね〜!のあは今日もゆうくんと話すの〜?」

「んーどうかな。いろいろやることやって見たいテレビがあれば見て、誘われたら話そうかな」

「相変わらずだぁ〜」

「明日は準備しといてよ。朝みたいに校門まで走りたくないから」

「頑張るよ〜。また明日ね〜ばいば〜い」

いつもの日常。

これといってかわり映えもない。

今日はゆったりできるな〜

そんな1日だった。
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