私たち、兄妹は踊り手です!
「……さて、何を踊ろうかな~」

踊る時間は、たっぷりある。それだけ、私は早く来てしまったんだ。

画面をスクロールして、良い曲が無いか探した。あ、これにしよ。

私は、『地球最後の告白を』を踊る。

「……へぇ、綺麗な踊りだね」

踊っていると不意に誰かの声が聞こえて、私は踊るのを止めて声がした方を見た。

……スリッパの色を見る限り、2年生?……ってことは、私よりも1つ上の先輩か。

「あんたが、梨乃ちゃん?卯月(うづき)先輩からは、聞いてるよ」

卯月ってお兄ちゃんの名前……。

「な、何で――」

「僕、先輩と同じ部活に所属してます、2年生の和(かず)って言います」

「ど、どうも……1年生の梨乃です……」

私とお兄ちゃんは、同じこの高校に通ってて、私は1年生、お兄ちゃんは3年生なんだ。

「よろしくね。ねぇ、梨乃ちゃんってさ……踊り手のナツハちゃんじゃない?」

先輩の言葉に、私は驚くことしか出来ない。だって、私が踊り手だってことは誰も知らないはず。

「驚かせてごめん。僕は、振付師として活動してるんだ。振付師としての名前は、ヤエ。……それで、日頃から動きとか観察してるからさ、自然と分かるんだよね。メガネを掛けてても、髪型を変えてても、変わってない部分があるから……でも、勘の鋭い人とかじゃないと、ナツハちゃんだって分からないかな」
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