私たち、兄妹は踊り手です!
ニコリと笑った先輩の笑顔に、私の胸が高鳴ったような気がした。



「……よし!投稿完了!」

私は、お兄ちゃんと踊った『神のまにまに』をネットに載せる。

『ホントに、ナツハちゃんとハヅキくんって仲良いんだね!小さい時から仲良いって、羨ましいな~』

すぐにそう言ったコメントが来た。私、ナツハと兄、ハヅキの関係を誰にも明かしたことは無い。まぁ、小さい時から知ってるってことは言ってるけど……。

関係を話したら、学校の皆に私の正体がバレてしまうから。お兄ちゃんが、踊り手であることは、生徒の大体の人が知ってるからね。

「……ん?」

その時、お兄ちゃんのスマホから音楽が鳴る。お兄ちゃんのリア友からの電話だった。

「あいつから電話してくるなんて、珍しいな……もしもし?」

そう呟きながら、お兄ちゃんは立ち上がって電話に出る。

「……はい。お久しぶりです…………え!?…………そうですか……」

驚いたなって思ったら、お兄ちゃんは急に暗い声になった。その声は震えていて、苦しそうな……。

一体、何があったんだろ。



あの日から数年が経った。家に入ると、さっきまで流れていた汗も、スっと引いていく。涼しいな……。

「……ただいま」

私が買い物から帰ると、リビングに置かれているイスに座っていたお兄ちゃんは、耳にイヤフォンを差していた。
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