君の好きな人が私だったらいいのにな。
『っと、ここまで来れば大丈夫だろ…。』

「…ほんと、ありがと…。」

『わり、いきなり走ったから疲れたか?』

「ちが、ちょっと力抜けちゃって。」


羽瑠が守ってくれたのに、と柚真は力なく笑って

その場にへたりこんだ。


『ほら、首に手ぇまわせ。』

「えっ、」

『いいから。』


俺が言うと、柚真はそっと俺の首に腕をまわした。


『よっ…と、』


そのまま抱き上げると、驚いたのか首にまわされた腕に力が入ったのがわかった。
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