君の好きな人が私だったらいいのにな。
「まあまあそんなこと言わずー、はい、イカ焼き。」


あーん、と差し出されたイカ焼きにかぶりつくと

香ばしい醤油のタレの味が、懐かしかった。


『柚真、ここ付いてる。』

「ん?」

『タレ。相変わらず食うの下手だな、』


侑は呆れ顔で

私の口の横を親指で拭った。


「取れた?」

『取れた取れた。ほら、焼きそば食うんだろ。』


私は、柚稀からもらった、と侑から受け取った焼きそばを

自分たちの順番が来るまでに食べきった。
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