君の好きな人が私だったらいいのにな。
「………叶っちゃったから、今年は。」

「ん?」

「んーん。なんでもなーい。」


私が笑うと

そう?と羽瑠は横で首を傾げた。


『ほら、そろそろ帰るぞ。』

「わっ、ちょっと…、」


私の後ろを立花達と歩いていた侑は

そう言って横に並んで私の左手をとった。


「あ、ちょっとー。柚真のこと独り占めすんのやめてよ、」

『うっせぇ。また夕方くらいに会おーぜ。』

「ずるいー、自分だけ柚真んち戻るつもりでしょ、」


侑は、はいはい、と羽瑠を軽くあしらって

行くぞ、と私の腕を引き寄せた。
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