君の好きな人が私だったらいいのにな。
何言ってんの!と私が突き放すと

逃がすもんか、と言わんばかりに

侑は私の肩を引き寄せた。


『先に仕掛けてきたのは柚真だろ?』

「し、仕掛けてないしっ…、」


ここで目を逸らしてしまうのも悔しくて

侑を見つめると

侑は余裕そうな顔でまた顔を近づけた。


「っ…、…?」


キスされる、と思って目をぎゅっと閉じたけど

いつまで経っても唇には何も振れなくて

そっと目を開けると

にやり、と笑った侑と目が合った。

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