君色パレット
「変わったって言うか戻ったかな。
いや~戻ってないな。」
すると渚は、なにか一人でぶつぶつ言いはじめた。
えっ?戻ったって何よ!
小学生に見えるって言いたいのか?
「んーっと、どういう意味?」
一人でぶつぶつ言ってないで、変わってないなら、変わってないって言ってくれ!
悲しくなるわっ。
渚は少し考えてから話しだした。
「玲は、あの頃より話すようになったけど人と一定の距離置いて話してるようにみえる。
違う?」
いきなり何を言い出すのかと思ったら、よくわからないことを言われた。
むしろ、あたしが1番考えたくないことなのかもしれない。
「えっ?何言ってるの?
別にそんなことないよ?」
とぼけて笑いながら答えるあたしに、渚は真剣な顔をしたまま話しを続けた。
「久しぶりに会って話したけど、俺はずっと玲を見てきたんだからわかるよ。
幼なじみなんだから俺には本音で話していいよ。」
「渚人の話し聞いてる?
何もないってば。」
この人には、あたしの話しが聞こえてないのか?
もうこの話ししたくないんだけど。
思い出したくない何かを思い出してしまいそうになる。
「あの時は聞いてあげられなくてごめん。」
「・・・」
「1番近くにいた俺が玲を守ってやらなきゃいけなかったのに。
玲を理解している俺が側にいてやらなきゃいけなかったのに。」
なんで渚がそんな辛そうな顔をするの?
「もういい。忘れた。
もうなんとも思ってないから渚は気にしくていい。」