君色パレット
「玲!!
じゃあ、俺の顔を見て言えよ!
なんでそんな悲しそうな顔すんだよ!」
あたしの肩を掴み、あたしと目を合わせ、目を足元に伏せた。
渚。違うよ。
悲しいのは渚があたしのせいで辛い顔してるからなんだよ。
「渚。もういいの。
忘れたの。
思い出したくないの!
ほっといてよ!!!」
もう今さら遅い。
あたしは何かを変えようとは思わない。
確かにあたしはあの頃から人とは深く関わらないようにしてきた。
だからなに?
相手が気づかなきゃいいんだよ。
むしろみんなどうせ上辺だけなんだから。
またあんな辛い思いをするぐらいなら深く関わる必要なんてない。
だからあたしに何でも言える親友なんていない。
でも友達ならいた。
嘘の性格をしたあたしの…。
猫を被ったあたしの。
絶対誰もあたしの悪口を言わないとってもいい子に成りすましてきた。
もうあの頃のようになりたくないから…。