君色パレット

「・・・・今さら何？」



でも、やっぱりあたしは言えない。

裏切られるのが怖い臆病者だから。



「うん。ごめん。
でも、もう見てられない。」


そう言う渚の目は、力強くあたしの全てを見透かされてる気がした。


やめてよ…。
もうほっといてほしいのに。


あたしの中で何かが一気に崩壊した。


「じゃあ、どうしろって言うの!？
また信じて裏切られるの!？
なんであたしがそんな辛い思いしなきゃいけないの？
今さら性格戻せと？
前の性格なんて覚えてないし!
今までのあたしは全部嘘だったって言うの？」


渚は何も言わす、黙ってあたしの訴えを聞いていた。


「そんなこと…できる訳ないじゃん…。
裏切られたくないって言ってたあたしがみんなのこと裏切ってたんだよ？
自分を守るために人を裏切ってたんだよ？
最悪じゃん!最低じゃん!
そんなの無理に決まってるよ!」



「もう、遅いよ…。
今さら戻れない…。」



ついにあたしの目から涙が溢れた。


あの時から絶対人前では泣かないって決めてたのに。


久しぶりに人前で泣いた。

子供のように声をあげながら。

でも、なんなんだろう。

少し気持ちが軽くなった気がする。



やっぱりあたしは、このままでいいって思いながらも誰かに助けを求めてたのかもしれない。


あたしの存在に気付いてくれる人を探してたのかもしれない。


ダメだなぁ。

何も変わってないじゃん。