【BL】氷上の王子様
フロントでチェックインを済ませて、ホテルの部屋番号は1277。最上階の12階だ。
部屋に入る前、ホテルマンの男性が僕に、少し注意の言葉を言った。
「こちらの12階は、お客様の泊まられる1277号室と、もう一部屋しかお部屋がない階になります。もう一つのお部屋が当ホテルで最上ランクのお部屋となっておりますが、今日はそちらのお部屋にお客様がいらっしゃいますので……」
言いにくそうに、「少々、隣の声などが聞こえるのはお許しください……」と、男性は言った。
ホテルの部屋の中は広々としていて、ベッドも大きい。
自分と母の喧嘩のためだけにこんな部屋を……
僕はなんだか申し訳なくなった。
明日は土曜日で学校が休みだし、ラッキーなことにスケート靴もさっき押し出される時持たされた。練習にも行ける。
でも僕は、そんな自分を笑った。
ここまできて、まだスケートをやるって前提で考えている自分に。
その時だった。
隣の部屋から、「わあっーーーっ!!!」っと大きな声が聞こえて、僕の体はびくりと揺れる。
こんな大きな声、生きている中で聞いたことがない。それくらい迫力ある怖い声だった。
さっきのホテルマンが言っていた「少々」というのは、こんなレベルなの?これって少々って言える……?
その後も立て続けに、
「俺はダメなんだ!」
「締め切りなんてあるからいけないんだ!」
「自由に書く権利なんてハナマルブンコには無い!」
そんな罵声が聞こえて来る。
これじゃあ夜眠れない……
ただでさえ母親との喧嘩で体力と精神力を消耗したのに、夜も眠れなかったら、もう持たない。
その大声が三十分も続くので、僕はとうとう、このホテルで一番いい部屋のベルを鳴らした。
部屋に入る前、ホテルマンの男性が僕に、少し注意の言葉を言った。
「こちらの12階は、お客様の泊まられる1277号室と、もう一部屋しかお部屋がない階になります。もう一つのお部屋が当ホテルで最上ランクのお部屋となっておりますが、今日はそちらのお部屋にお客様がいらっしゃいますので……」
言いにくそうに、「少々、隣の声などが聞こえるのはお許しください……」と、男性は言った。
ホテルの部屋の中は広々としていて、ベッドも大きい。
自分と母の喧嘩のためだけにこんな部屋を……
僕はなんだか申し訳なくなった。
明日は土曜日で学校が休みだし、ラッキーなことにスケート靴もさっき押し出される時持たされた。練習にも行ける。
でも僕は、そんな自分を笑った。
ここまできて、まだスケートをやるって前提で考えている自分に。
その時だった。
隣の部屋から、「わあっーーーっ!!!」っと大きな声が聞こえて、僕の体はびくりと揺れる。
こんな大きな声、生きている中で聞いたことがない。それくらい迫力ある怖い声だった。
さっきのホテルマンが言っていた「少々」というのは、こんなレベルなの?これって少々って言える……?
その後も立て続けに、
「俺はダメなんだ!」
「締め切りなんてあるからいけないんだ!」
「自由に書く権利なんてハナマルブンコには無い!」
そんな罵声が聞こえて来る。
これじゃあ夜眠れない……
ただでさえ母親との喧嘩で体力と精神力を消耗したのに、夜も眠れなかったら、もう持たない。
その大声が三十分も続くので、僕はとうとう、このホテルで一番いい部屋のベルを鳴らした。