二度目の初恋
通信制サポート校は全国各地にキャンパスを持ち、そこに通ってレポートをこなし、テストを受けて合格することで単位習得となる。

通信制高校とは違って毎日キャンパスに通うことができ、全国のキャンパスの人とスクーリングという単位習得の宿泊学習みたいなものも開かれたり、キャンパス対抗のスポーツ大会が行われたりなど様々。

わたしは麻痺のこともあるし、人より体力がないということもあり、とりあえず週2日通うコースを選択した。

そして今日が初めての登校日だった。

来ている生徒さんも少なく、皆干渉し合わないような雰囲気だったけど、先生は優しい人ばかりだったし、ここならなんとかやっていけそうな気がした。


「じゃあまた金曜日。待ってるわね」

「はい」

「気をつけて帰ってね」


ビルの一室にキャンパスがあるため、サラリーマンの方と一緒にエレベーターに乗って一階まで降りた。

ここからはわたしの足で自宅まで30分。

バスもあるみたいだけど体力作りのためにも歩くと決めた。

母に聞いた話によると昔から運動はイマイチだったけど、外で遊ぶのは好きだったみたい。

妹と庭で遊んだり、公園で友達と遊んだりしていたって言ってたけど、何度頭を捻っても何も思い出せない。

せめて夢にでも誰かが出てこないかなと思って、枕の下に"友だちに会いたいです"と書いた紙を置いて寝たこともあったけれど、その日夢には何も出てこなくて翌日には穴に突き落とされる夢を見た。

それからは夢を見たいとも思わず毎日安眠出来るよう、精神科で処方してもらった睡眠薬を飲んで寝ている。


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