二度目の初恋
「待ってたよ、ズミ、伽耶。しっかし、あんたたち、遅くない?運動不足なんじゃない?」


泰翔も由依もたかれなも階段を降りたところで待っていた。


「私は吹奏楽部で筋トレも校内も走ってるから体力はある方。帰宅部のたかれなには言われたくない」

「ももか、あんたそういうところが可愛くないの。昔からそう。あんたは自分の世界に閉じ籠って大好きな自分を守ろうと必死なのよ」

「そういうたかれなこそ...」

「だから、うっせーよ!ちょっとは黙れよ。そんなんだと、お前ら一生恋人出来ねえぞ」


泰翔のその一言にカチーンと来たのか、2人はものすごい形相で泰翔に噛みついた。


「失礼にもほどがあるわ!あんたこそ、そんなんだと一生恋人できないから!」

「ほんと、女性軽視も甚だしい。同じ学校の生徒にこんな人がいると思うと吐き気がする」


オレはくすっと笑った。

伽耶がこんなにはっきり物事を言う人だと知らなかった。

前言撤回だ。

伽耶は大きく変わった。

良い意味で変わったけど、それはきっとオレのせいじゃない。

誰か別の人が伽耶の殻を破ってくれたんだ。

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