二度目の初恋
3人の言い合いを微笑ましく見ていると、オレの隣でふわっと甘い香りがした。

すかさず振り向くと、由依もオレを見つめていた。


「ありがとう」

「えっ?」

「あの雨の日、助けてくれたの、悠永くんだよね?私、覚えてるよ」


やっぱりバレていたか。

なら、オレもとっておきのサプライズをしよう。


「がんばってね。わたしもがんばります」

「えっ?そっ、それって...」

「オレのノートに書いたのキミだよね?」

「あっ、そうだったんだ。あれは悠永くんの...」

「そう。だからオレたち同じ学校なんだよ。オレは夕方にしかいかないから多分会わないと思うけど、改めてよろしく」

「こちらこそ、よろしくです」


よろしくです、か...。

由依は昔から言葉遣いが変だったけど、今ま昔もそれは変わらないんだな。

そして、この熱くて淡くていとおしくて苦しい気持ちは由依が近くにいればいるほど強くなる。

一体どうしたら由依はオレを思い出してくれるんだろう?

由依にもう1度真夏の太陽より眩しくて向日葵より真っ直ぐな笑顔を見せてもらえる日はいつ訪れるのだろう。


「ゆいぼん、悠永!アタシの家行くよ!花火やるんだから早くしてよ!」

「分かった。今行く」


オレが由依に目配せし、足を1歩2歩と前に出すと、由依はオレの隣に並んでくれた。

いつもオレの前を行き、振り返って笑いかけてくれた由依はもういない。

だけど、由依は由依のままで、いつもオレに寄り添ってくれていた。

やっとオレは並んであるけた。

これからも...由依とこうして並んで歩けてら良い。

そんなことを思いながら、手が触れそうで触れない距離を保って星空が美しい街灯がところどころチカチカと点滅している夜道を歩いた。

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