二度目の初恋
「いやぁ、楽しかったぁ!久しぶりだよ、花火なんて」

「俺もだ。しかも、このメンツでやるなんて思ってねえし、ドキドキハラハラで疲れたわ」

「疲れたわって、まだ終わってないけど。最後に1番ド派手なやつやらないと。悠永それ、つけられる?」

「うん、大丈夫」


いつの間にか着火担当にされてしまったオレは最後で最大の大物に手をかけた。

たまたまたかれなの家にあった使い古しのライターで火をつけた。

オレは急いでその場を離れて花火の光がどんどん高くなっていくのを見つめた。


「ハッピバースデートゥーユー...ハッピバースデートゥーユー...」


全員が花火ではなく、その声の方を見た。

暗くて表情が良く見えないけれど、たかれなが口元を押さえているのは唯一分かった。


「ハッピーバースデーディア......」


歌はそこで止まった。

これだけでも奇跡だというのに、これ以上覚えていたとしたらオレはもう泣くどころか涙も出せずに、とにかく笑うだろう。

オレが笑えば...笑ってくれるって...

そう思いたいから。


「ハッピーバースデートゥーユーハッピーバースデートゥーユー」


たかれなが歌い出した。


「ハッピーバースデーディア...」

『悠永~!ハッピーバースデートゥーユー...!』

「おめでとう!」

「改めておめでと、悠永」


最後は伽耶とたかれなの美しいコーラスとなった。

今年の誕生日は、申し訳ないけど、今までの人生の中で1番嬉しい。

こんなに高揚する誕生日は産まれて初めてだ。

失なってまた取り戻したから、何かを得てばかりの人生を生きていた時より、本当に大事なものが自分の近くにあることがより鮮明にオレの気持ちを前向きに描くのだろう。


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