二度目の初恋
「アタシがこんなこと言うのもナンだけど...悠永がゆいぼんのためを思って何かしてあげれば、ゆいぼんは何っていうのは気にしないと思う。ゆいぼんは悠永がっていうことに意味を感じると思う。悠永だってそうだったでしょ?ゆいぼんが悠永に何かしてあげた内容よりもゆいぼんって存在が悠永の心に刺さったんじゃないの?」


悠永は何も答えない。

微かに鼻をすする音が聞こえる。

泣いているのだろうか。


「悠永?」

「あぁ...ごめん。ちょっと風邪気味で...」


嘘だな。

悠永は強がってる。

事故の後も悠永は泰翔に責められても血相ひとつ変えず、飄々として淡々と生きているように見えていたけど、心の中では泣いていたんだ。


「悠永、ゆいぼんは知りたがってるし、待ってるよ。正しいかどうかなんて分からないんだから、とりあえず悠永がゆいぼんにしてあげたいことをやりなよ。アタシも言われれば協力するし、いや、言われなくても手伝うからさ。頑張ってみようよ...大事な人のために...」

「あぁ...」


悠永はちゃんと分かってくれたみたいだ。

それならば早速しかけるとしよう。


「ってことで、ゆいぼんに毎日連絡して」

「は?」

「は?じゃないよ。当たり前だよ。脳に毎日刺激を与えれば徐々に思い出してくるかもしれないじゃん」

「いや、でも...」

「でもは禁止。男ならやるって決めたらやるっ!ゆいぼんならそう言うよ」


言うよ、というか、言ってた。

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