二度目の初恋
アタシは駆け足で泰翔のクラスに向かった。

泰翔は午後からフリーと言ってたから、今行けば捕まえられる。

2人の邪魔なんてさせない。

今日、泰翔の相手をするのはアタシだ。

いや、これからも...アタシであってほしい。

自分の学校じゃないから位置関係が良く分からない。

アタシは迷ってしまった。

ロスタイムだ。

こんなところで迷っている場合じゃないのに。

ってか、教室もその回りの建物も多くない?

マンモス進学校はお金の賭け方も段違いなよう。

それはどうでもいいんだけど、早く行かなきゃ。

焦りだけが胸に積もり、心を占めていく。

たくさんの人とすれ違い、時にぶつかり、進んでいく。

約束なんてしていない。

ゆいぼんと行くって言っただけ。

そう言わないとアタシのことなんて見てくれないんだから。

泰翔はいつだってゆいぼんの黒髪を目印にアタシを探していたんだ。

委員会の時も、グループで見学学習に行った時も、アタシがいない時にはゆいぼんも一緒にいないから、泰翔はアタシたちを探すのにゆいぼんを目印にしていたんだ。

ゆいぼんの隣にいないアタシなんて視界に入らないって分かってる。

それでも、アタシは自分のやるべきことをやるって決めたから、やるんだ。

やるしかないんだ。


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