二度目の初恋
「おい!そこの天パ!」


アタシは立ち止まった。

ムッとして振り返るのもためらわれたが、気がついた時には振り返っていた。

アタシの視線の先には...


「泰翔...」


...泰翔が...いた。

アタシが1人でも見つけてくれた。

ゆいぼんはどうした?って聞かれるだろう。

ゆいぼんを探しに行くって言うかもしれない。

それでもいい。

今日はそれでもいい。

嬉しいから。

アタシを見つけてくれたっていうその事実が、アタシの胸をぽかぽかと温めてくれたから。

言われたら言われたでアタシは向き合う。

そのための今日だって思ってる。


「何してんだよ、こんなとこで?ゆいぼんと来るって言ってたよな?まさかはぐれたのか?」

「うーん...まあね」

「なら、探さねえと。ほら、ボケッとしてないで行くぞ。あと4時間で終わんだから急ぐぞ」


急がなくなっていいし、見つからないのが正解なんだけどな。

言っても無駄だと思うから、こっからは演技しながら絶妙にくぐり抜けてトドメを刺すしかない。

さて、始めましょうか。

アタシのお仕事を。

その前に一言。


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