二度目の初恋
「もう9回目でしょ?いい加減諦めてよ。っていうか、毎回諦めてって言ってるし」

「俺も毎回諦めないって言ってる。だから諦めるつもりはない」

「そういうところがウザいの。あのね、これ以上私に付きまとってきたら先生に言うから」


これはこれはすごい展開だ。

聞いてるこっちがなんか熱くなってくる。


「言ってもいいよ。だからって俺の気持ちは変わらない。変わらないから今こうしてるんだ」


校門の数歩手前まで迫ったところで足音も声も止まった。

アタシは気になってちらっと顔を覗かせると......息が止まった。

そこにいたのは......


「うざがられたって何されたって俺は伽耶が好きなんだよ。伽耶じゃなきゃダメなんだ」

「そんなわけないでしょ。私の代わりなんていくらでも...」


――いる。

そう言いかけてももかは口をつぐんだ。

その理由がアタシには分かった。


「伽耶も分かるよな?自分がその人のことを好きだと強く思っている限り、代わりなんていないんだ。その人じゃなきゃ、ダメなんだ。それでも俺は諦めない。伽耶に振り向いてもらえる自信があるからだ。伽耶を一番大切に想ってるのは俺だって本気で思ってるから」

「......帰って」


彼の言葉にももかは氷柱のように冷たくて鋭い矢を放った。


「伽耶...」

「いいから帰って。私...そこに隠れてる人と用があるの」


......えっ?

アタシ......バレてたの?

アタシはぽかんとしてしまい、思考が停止し、どうすればいいか分からなくなった。

と、その時。


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