二度目の初恋
いつもの喫茶店を事前に予約していたから、一番奥の人目につきにくい席に通された。

ちらほらと立葵黎明の制服の生徒がいたが、2人の知り合いはいなくてほっとした。


「夕飯どうする?ここで食べてく?」

「夕飯なんて食ってられるかよ。早く話せよ。聞いたらすぐ帰る」

「私もそうしてもらえると助かる」


2人にそう言われたので楽しみにしていた喫茶店のナポリタンを食べるという夢は儚く砕け散った。

今度ゆいぼんと来よう。

自己中なインテリ軍団、もう二度と連れてきてあげないんだから。

若干精神不安定の中、アタシはとりあえず飲み物を注文し、来るまではテキトーに間を繋いだ。

マスターが空気を読んだのか、いつもより出てくるのが早いように感じた。

アタシは来るや否やストローに口をつけ、芳醇な香りが漂い、苦くてほんのり酸味のあるアイスコーヒーをごくごくと飲んだ。


「おい、飲んでないで早くしろよ。今マジで眠気ピークなんだけど」

「分かってるよ。そんなに早く帰りたいなら、結論から言う」

「ああ、そうしてくれ」


泰翔の態度の大きさにイライラが沸点に達しそうだったが、アイスコーヒーの口に残る苦味と豊かな香りで抑えられた。

アタシは意を決して口を切った。


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