二度目の初恋
「泰翔くん、席どうする?」

「あ、あぁ。いつもと同じところらへんでいいよ」

「分かった。じゃあわたし席確保してくるから泰翔くん先に注文してていいよ」

「ありがと、ゆいぼん」

「ううん」


ゆいぼんは事故にあってから性格が変わってしまい、昔は鈍感だったのに妙に察しが良くなった。

今まで散々怜奈から話を聞かされ、俺と毎週会って様子を見ていたら、俺が怜奈に好きだと言われて動揺していることくらい分かると思う。

俺はゆいぼんが好きでそれは変わらない。

変わっていない、はずだ。

今でもやっぱりゆいぼんが1番大切で、ゆいぼんに笑ってもらえると嬉しくて、ゆいぼんの側にいたいって思う。

だけど...どうしてもちらつくんだ。

あの日の怜奈の言葉や表情、呼吸まで全て鮮明によみがえる。

怜奈があんなに必死に俺たちに説得してあんな顔で俺に向かって言葉を吐き出すなんてことがなかったから、俺の中でも衝撃的な出来事で、いつまでも忘れられないんだ。


そうやってずるずる引きずったまま、秋を通り越し、冬になった。

俺はこれからどうするんだろう。

どうしたいんだろう。

探しても探しても答えは見つからなかった。


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