二度目の初恋
私は学校を出るとすぐに電車に飛び乗り、いつもの待ち合わせ場所に向かった。

私の楽しみは何があっても失いたくない。

失う訳にはいかない。

もしなくなったら私は私でいられなくなる。

私という人間を保つためにも必要なのだ。


「悠永、ごめん。待った?」

「俺も今来たばかりだよ。忙しいのに、毎回ごめん」

「悠永も毎回謝らないで。私が好きでやってるんだから。で...はい、今回はこれ」


私はテーブルにどんっとコピーしたプリントを置いた。


「これ全部冬休みの課題?」

「うん。私たちは最低限これをやらなきゃ進級出来ない。それプラス冬休み明けのテストに外部模試...」

「考えただけでめまいがする」

「うん。だから私は考えないようにしてる。考えずにとにかくやる。ってことで、悠永もとりあえずやってみよう」

「あぁ、うん」


短時間でもやりやすい国語の漢字の問題や政経の暗記プリントの穴埋めなどに取りかかった。

人に教えるのがわりと得意らしいと気づかせてくれたのは、やはり悠永だった。

昔から分からないところがあるんだなって察して教えていたし、今でも表情を見ればだいたい何が分からないのか何につまずいているのか分かる。

言葉がなくても分かりあえるというのは勉強を教える上でも、普通に生活していく上でも良いことばかり。

悠永と私は産まれた時から運命の赤い糸で結ばれていて、私と人生を歩んでいく運命の人は他の誰でもなく、悠永だと信じている。

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