二度目の初恋
その日の帰り道。

私はさりげなく悠永にクリスマスの予定を聞いてみた。


「年末年始はバイトばっかだよ。予定といえばバイトくらいだ」

「私も塾とかあるから暇じゃないんだけど、もし良かったらクリスマス当日会わない?駅間のイルミネーションとかすっごくキレイだし。悠永と見られたら私嬉しい」


と言ったものの、言い終わった後にだいぶ攻めすぎたかなと思った。

ガツガツいくタイプじゃなかったのに、日頃そういう人に接していると悪影響が及ぶんだと改めて感じた。


「イルミネーションか...。クリスマスはオレ9時までバイトなんだ。その後でもいいなら...」

「全然大丈夫。私も塾終わるの9時半だし。終わったら私連絡するから、どこかで待ち合わせしよう」

「うん、分かった」


またひとつ悠永と2人だけの約束をした。

2人だけの思い出が増えるって分かると私は安心出来るんだ。

そして...あの子に勝った気がする。

私の憧れでありながら、憎くてたまらない、佐倉由依。

ゆいぼんから悠永の思い出がなくなった今、私が満たすんだ。

記憶喪失のゆいぼんなんて無能だ。

性格だって変わってしまったし、何なら昔のゆいぼんに近いのは私の方かもしれない。

悠永が好きだったのは昔のゆいぼん。

悠永がゆいぼんを好きだったという事実も昔のこと。

昔に引きずられているのは、私じゃない。

たかれなだ。

私はたかれなの言うことなんか信じない。

信じるのは自分と悠永だけだ。

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