二度目の初恋
自宅に帰ると、私は部屋に飛び込んだ。


「うわーーーっ!!」


目の前にあるもの全てが鬱陶しかった。

全てを否定してやりたかった。

全てを壊してしまいたかった。

なんで、

なんで、

なんで、

なんでゆいぼんなの?!

いつも、

いつも、

いつも、

いつもいつもいつも、

なんで私の邪魔ばかりするの?!

なんでよ!

なんで私じゃないの?!

なんで私のために

泣いたり、笑ったり、怒ったりしてくれないの?!

こんなに好きなのに!

ゆいぼんより何倍も何十倍も何百倍も悠永のことが好きなのに!

ゆいぼんより何倍も何十倍も何百倍も悠永のことを知ってるのに!

こんなのおかしい!

おかしいおかしいおかしいおかしい...!!


「ざけんな!......ざけんな!......ざけんなっ!!」


教科書もノートもファイルもアルバムも写真立ても枕もぬいぐるみも全部壁に投げつけた。

壁を越えて向こう側にいくはずだった。

越えらんないなら壊すしかない。

壊してやる。

壊してやる!

壊してやる!!

全部全部全部......壊してやる!!

拳を振り上げて壁を叩いた。

――ドンッ、ドンッ...ドンッ...ドンッドンッ...ドンッドンッ!!


「はぁはぁはぁ......」


息が上がる。

そして母も上がってくる。

なんて言おう。

何も言いたくない。

カッコ悪いことしちゃったな。

私の胸をもやが覆い尽くし、ヘドロのようにどす黒くなってとぐろを巻く。

渦に飲まれたっていい。

何したって何されたって何言われたって構わない。

私は悠永が好きで、その気持ちは変わらない。

変わらないから......

泣いたりなんて......しない。

負けたなんて......認めない。


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