二度目の初恋
帰り道のことだった。

夜空には満点の星が瞬いてわたしより何倍も怜奈ちゃんの誕生日をお祝いしてくれていた。

この星空のステージだけがわたしの救いだ。


「ねえ、ゆいぼん」

「ん?」

「アタシ、自分がどうなってもゆいぼんの記憶をよみがえらせるのちゃんと手伝うよ」

「えっ?」


怜奈ちゃんの凛とした顔が街灯に照らされて少しぼやけてみえたけど、その顔からは強い決意が感じられた。

わたしは圧倒されて思わず息を飲んだ。


「過去を拒んでるのは泰翔だけじゃない。アタシだって少し怖いし、思い出してほしい記憶ばかりじゃない。だけど...だからこそ、過去と向き合ってケジメをつけて未来に歩いていかないとならないと思う。アタシはゆいぼんが戻って来てくれて、思い出したいって言ってくれて嬉しいよ」

「怜奈ちゃん...」

「皆で止まった時間も関係も動かそう。ここで諦めちゃダメ。前に進もう」


怜奈ちゃんが立ち止まり、わたしも立ち止まってお互いの顔を見つめ合った。

そしてどちらからともなく小指を差し出してお互いに絡めた。


『指切りげんまん、嘘ついたら針千本のーます。指切った!』


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