二度目の初恋
その夜。

夢の中に小さな少女が出てきた。

どうやら小学校の教室の中らしく、少女はクラスメートからくるくるの天然パーマをいじられていた。

休み時間なのだろうか。

少女は教室の隅で1人取り残されてしくしく泣いていた。

そこにもう1人の少女がやって来た。

その少女は長い黒髪を揺らしながら天パの少女に近付いていき、隣に腰を下ろした。


「どうしたの?」

「ぐすっ...ぐすっ...」

「泣いてちゃ分からないよ」


天パの少女に黒髪の少女がピンク色のハンカチを差し出した。

天パの少女は受け取ったハンカチで必死に涙を拭っていた。

黒髪の少女が天パの少女の頭を撫でて慰めると、徐々に天パの少女は落ち着きを取り戻してきた。


「この髪の毛ふわふわで気持ちいいね」

「えっ?」

「近所にトイプードルいるじゃん。あれより気持ちいいよ」

「そ、そう?」

「こういうのって個性って言うんだって。個性は自分が嫌だなって思っちゃうと嫌に感じちゃうし、自分だけの特別だって思えると良く感じるんだよ。だから個性を大事にして自分らしく生きようよ。ねっ?」


天パの少女が大きく頷き、涙を浮かべながら黒髪の少女に抱きついた。

黒髪の少女も...笑っていた。

< 23 / 365 >

この作品をシェア

pagetop