二度目の初恋
「それに私......もう諦めたの。見られたのは恥ずかしいけど...失恋した」

「なら、俺今最大級のチャンスってことだよな?」

「は?」


この人、何言ってるの?


「失恋して弱った心には新しい恋だろ?その相手は...」

「笛吹律希だけは勘弁して」

「なんでだ!理由を言ってくれ!俺しかいないだろ?!」

「そういう自信過剰なところとか、ストーカー気質なところとか、ほんっとぉに嫌い。ってか、キモい」

「ひっでえやつ。伽耶がそんなんだとは思わなかった。けど、俺はそんなクールビューティーでツンデレな伽耶が好きだから。今度こそはそのハート頂きますぜ!」


言っていることもやっていることも理解の範疇をゆうに越えている笛吹律希。

それでもこんな私の側にいてくれるのはありがたい。

傷は少しずつ癒していくから、その傷が癒えた頃に答えを出せるといい。


「伽耶、俺は諦めないから」

「そんなの分かってるよ」

「あれ?その続きは?何度言われても私はどうこういうやつ」

「そ、それは......もう言わない」

「へっ?伽耶、今何て?」


私がそっぽを向いた時、その方向からサイレンの音が聞こえてきた。


――ピーポーパーポー、ピーポーパーポー。


「まさか......」


私は駆け出した。

胸がドクンドクンして走るのも苦しい。


「伽耶、待って!」


待てない。

待てないんだ。

私は後ろを振り返らず、あの場所を目指して足を動かした。

あの日と同じことにだけは...

絶対ならないで。

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