二度目の初恋
場所は変わっていつも伽耶と会っているあのカフェにやって来た。


「悠永くんごめんね。わたしお邪魔だよね?」

「いいよ、全然。昔はこんなことばっかりだったし」

「そうだったんだ...。なんか本当にごめん。わたし悠永くんに引っ付いて邪魔ばっかりしてたんだね...」

「本当に大丈夫だから。気にしないで、ほら、カフェラテ飲みなよ」

「うん...」


ゆいぼんに邪魔されるなんてしょっちゅうだった。

図書館で本を読んだり、勉強をしていたりするとゆいぼんはオレの匂いをどこにいても嗅ぎ付けてきて、知らぬ間にオレの目の前に座っている。

そして、しつこく質問してきたり、本を紹介しろとせがんできたり、茶々を入れられて勉強や読書どころではなかった。

あの頃に比べれば由依はだいぶ落ち着いているし、空気も読める。

それが逆に悲しいなんて思ってしまうオレがいる。

わがままで自己中なのがオレの中の佐倉由依だから。


「悠永くんが終わるまで待っててもいい?話したいことがあって...」

「あ、うん。いいけど...」


ぷふっとオレは思わず吹き出した。


「えっ?何?わたし、なんかした?」

「鼻の下......」

「鼻の下...?」


女子の顔を見て笑うなど失礼極まりないと分かっているのにオレは笑いを堪えきれなかった。

見れば見るほど悪化するからオレはそっぽを向いた。


「うわっ。は、恥ずかしい...わたし、髭が...」


ふわふわのホイップがゆいぼんの口回りについて髭になっていたのだ。

ゆいぼんはティッシュで急いで拭いたようだった。


「お、お見苦しい姿を...。ごめんなさい...」

「オレこそ笑ってごめん。でもなんか、ゆいぼん...」


可愛かった。

そう言おうとしてオレは口をつぐんだ。

そんなこと言ったらますます気まずくなる。

それに、オレがゆいぼんに気があるんだと思われかねない。

いや、実際にはそうなのだけれど...まだ言うべきじゃない。

匂わせてもいけない。


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