二度目の初恋
「何?」


ゆいぼんが首を傾げる。

昔もそうやってオレの視界に入ってきて、たまにおでこをぶつけてきた。


――何?何か言いたいことあるなら、はっきり言って。

――黙りは禁物!言いたいことあるからそんな顔してるんでしょ!


とかなんとか言ってた。

顔を近付けられる度に心臓がバクバク異常な音を立てるオレの気なんか知らずに。


「何でもない」

「その顔は何でもないって顔じゃないよ。言いたいことあるなら、はっきり言って」


由依だ。

やっぱり目の前にいるのは由依だ。

記憶がなくても昔のままだ。

こんなところで泣きたくないけど、鼻の奥がつーんとして、手の平がじんじんと痺れてきた。

これはもう勉強どころじゃない。

勉強する前に言いたいことは言ってしまわないと...。

オレはゆいぼんを真っ直ぐ見つめた。


「さっきの顔、すっごく面白かった。だから笑っちゃった」

「そ、そう...そうだったんだ...。ふぅ...。言われるとやっぱり恥ずかしい...」


熱を冷まそうと必死に頬に手をやる由依を見てオレも赤くなってしまったのだった。

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