二度目の初恋
色々とハプニングはあったが、なんとか勉強を終え、由依の家がある住宅街の薄暗い道を歩いていた。


「こんなに遅くなって大丈夫?」

「大丈夫だよ。今日はお母さんはお友達と飲み会だし、妹は塾でお父さんはまだ帰ってきてないから。それにわたしだって高校生だもん」

「でもちょっと遅くなりすぎたから家の前まで...」

「悠永くん過保護なんだね。わたしなら大丈夫だよ」


――大丈夫。

昔も良く言っていた。

由依は「わたしは大丈夫だから」と虚勢を張るクセがあった。

強がって人に頼らず、人のために自分が犠牲になる。

由依は優しいんだ。

だけど、オレは心配になる。

由依の大丈夫は大丈夫じゃない可能性があるって知ってるから。


「悠永くん、1つ聞いてもいい?」

「えっ?あ...うん」


ぼーっと自分の爪先を見つめて歩いていたから瞬時に反応出来ず、声が裏返った。


「わたし、この前怜奈ちゃんにアルバムを見せてもらったの」


怜奈が言っていたことが正しければ、オレはこの後の言葉を予想出来る。

しかし、それにどう答えるか今すぐ答えは出せない。

正直に答えてしまったら、やっと掴んだ光を手放してしまう危険があってオレは今まで回避してきたのだから。

もう後悔したくないと思い、オレは尻込みしていた。


「そのアルバムを見ててわたし、思ったの。わたし、すっごく大切な思い出をなくしちゃったんだなって。忘れたままは嫌だなって。......だから、聞きたいの、悠永くんに」


オレはバレないように唾を飲んだ。


「わたしは......わたしは.........悠永くんを......どう思ってたの?」


由依がオレに視線を投げ掛ける。

どう答えるのが正解かは分からない。

いや、正解なんてないんだ。

無いものを必死に探しても見つからない。

たとえ間違っていようとも、模範解答でなくても、答えはオレが作るしかないんだ。

どうする?

どう答える?

オレが悩んでいる間も由依は問いかけ続けた。


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