二度目の初恋
雨宿りをしようと近くの商業施設に向かおうとしたところで後ろから声をかけられた。


「ねえねえ君、もしかして困ってる?」

「あっ、はい...まあ...。でも大丈夫です。あっちの施設で雨宿りするので」

「雨が止むまででいいから俺と時間潰さない?俺もちょうど雨宿りしようと思ってたんだよ」

「いえ、でも...」

「遠慮しないで。さ、行こう」


この人、怪しい。

お母さんから耳にタコが出来るほど言われていた。

怪しい人には着いていくな、と。

男は皆オオカミなんだ、と。

だからわたしは...逃げる。


「おい、待て!」


全速力で走るもののあっけなく捕まってしまった。

駅前とはいえメインストリートに来ていないため人通りが少ない。

しかも雨が降っているから歩いている人自体が少なくて助けを呼ぼうにも呼べない。


「誰か...誰かたす...」

「静かにしろ!でないとここで脱がすぞ!」


どうしよう。

このままでは何も出来ない。

この人の言いなりになるしかないのだろうか。

そんなの嫌だ。

考えなきゃ。

何か策はあるはず。

わたしは頭痛がするのも構わず考え続けたが、そんなことをしているうちにずるずると引きずられてコインパーキングまで来てしまった。

車に乗せられたら本当に何をされるか分からない。

お願い...。

お願い誰か...

誰か助けて。


「さてと、大人しく乗ってもらおうか」


男がドアを開ける。

車に投げ込まれ、わたしはこの男に...。

目を瞑った...その時だった。


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