二度目の初恋
「兄ちゃん...だっせーよ」


悠真が俺の背中を蹴ってきた。


「んだよ、その態度。自分だけが頑張ってるとか自分だけが可哀想とか惨めとかそんなこと思ってるんだろ?なら、止めてくれよ。むちゃくちゃカッコ悪いんだよ!後ろめたい気持ちがあるんなら、それをはね除けるくらい、由依さんとちゃんと向き合えよ!」

「悠真...」

「由依さんずっと待ってた。ずっとずっと待ってた。兄ちゃんが電車を降りて来るのをずっとずっとずっと待ってたんだよ。こんなだっせー兄ちゃんを待っててくれたんだよ。いや...今だって待ってるんだよ、きっと。お願いだから、由依さんの想いだけは...見逃さないでくれよ...」


悠真はそう言い残し、耳にイヤホンを着けて早朝ランニングに出かけて行った。

オレは握りしめた拳を頭にごつんとぶつけた。


――ぱるとのバカ!

――いってえ...。何すんだよ!

――ぱるとがぜんっぜんわたしの話聞いてくれないから、ごつんしたの!

――オレは読書してたんだ。仕方な...。

――仕方なくないよ!いっつもだもん。いっつもいっつも上の空!

――そんな人、もう知らないんだから!


由依はそういって拗ねていた。

オレは由依に謝ったけど、なかなか許してもらえなかった。

行き詰まったオレがそうなった時にいつも最後に取っていた行動は......。


――ゆいぼん、ごめん...。


深く深く頭を下げて謝り、由依の好きな花をプレゼントする。

それが仲直りの方法だった。

離れたオレたちを繋げてくれたのは、由依が1番好きだと言っていた......




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