二度目の初恋
「オレは自分のしてしまったことにずっと囚われ続け、自分が不幸になるような道ばかり選んで後ろ向きに歩んで前を向こうとしなかった。悲劇的な人生を歩んで同情してもらい、楽になりたかったんだと思います。

でも、それは間違っているとようやく最近気づきました。由依さんが戻ってきて昔の友人と再会して弟から正論を言われて...オレは気づいたんです。

オレはこのままじゃいけないと。このまま後ろ向きに歩いて行ったらその先には地獄しかないと。

真っ暗な穴に落とされるくらいなら、オレは前向きに生きて生きたいって思ったんです。

だから今日、ここにきて宣言しようと決断しました」

「宣言って何?暑苦しい話はそろそろやめにしてもらえる?」


オレは由依の父親にも視線を投げかけた。

穏やかで優しいが、芯が通っている強い人だ。

オレの希望であった人にオレがこれからは希望をもたらしたい。

だから、オレは......ここに誓う。


「オレは不器用なので、周りが見えなくなりますし、1つのことしか目に入りません。その1つが...その1人が......由依さんなんです。オレは......由依さんが好きなんです」

「あなた、さっきから意味不明なことばかり言わないで!由依とは会わないでって言ってるでしょ?!何が好き、よ?!あなたどうかしてるわ!」

「依子、落ち着いて」


由依の母親がオレに殴りかかろうとしたところでリビングのドアが開いた。


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