二度目の初恋
オレは勢い良く立ち上がり、一礼すると急いで玄関に向かった。


「悠永くん」

「はい」


靴ヒモを結ぶオレに由依の父親が一言呟いた。


「由依を頼んだよ」

「はい」


オレは一目散に公園へと走り出した。

この道を全速力で駆け抜けて公園に何回遊びに行ったことか。

足の速い由依を追ってオレも負けじと足を動かす。

自動車にぶつかりそうになりながらもスレスレで避けて命を長らえたなんてことも1度や2度ではすまなかった。

出会った時から要注意人物で危なっかしかったけど、オレはそんな由依がいつしか愛しく思えていた。

事故に遭わせてしまい、サッカーが出来なくなり、中学では帰宅部で、高校は通信制。

成功者のルートから脱線したオレは完全に生きる希望を見失っていた。

そんな時に由依は再び現れた。

オレのことを微かでも覚えていてくれたことが嬉しかった。

奇跡を起こせるのも由依とだからだった。

人を傷つけ、

人に拒まれ、

自分が嫌いになり、

自分を傷つけたりもした。

でも、それでも、オレは由依を想っていた。

その気持ちだけはずっと変わらなかった。

これからだって決して変わることはない。

オレはずっと...ずっとずっと由依の側にいる。

由依の隣で笑ったり怒ったり泣いたり喧嘩したり、色んな感情をぶつけ合う。

そうやって確かに今というかけがえのない瞬間を由依と生きていきたい。

オレは今度こそ......

由依を守る。

由依に好きだって伝えるんだ。


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