二度目の初恋
気がついた時には病院のベッドに眠っていた。

たまたまあそこを通りすがり、男子高校生に頼まれたおばさんとその旦那さんがわたしを病院まで連れて来てくれ、生徒手帳を頼りに両親に連絡し、警察にも事件の状況を説明してくれたらしい。

しかし、わたしを助けてくれた男子高校生は名前を告げなかったという。

だけどわたしはうっすらとした記憶の中でおおよそ検討がついていた。

彼はきっと...

わたしが探している最後の1人...

悠永くんだ。

わたしは長い間嗅いでいた病院特有の薬品の匂いを今になって不快に感じながら、母に言われるがまま、再び眠りに着いたのだった。

その日の夢には今まで見たことがなかった栗色のさらさらの髪の小さな男の子が出てきた。

それは雨に濡れていた彼と同じ髪色だった。


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