二度目の初恋
――バチンっ!


母は紀依ちゃんの頬を思い切りビンタした。

慌てて父が止めに入る。


「2人共落ち着くんだ。今日はクリスマスなんだし、皆で仲良くケーキでも食べよう」

「あなた、何バカなこと言ってるの?!こんな状況でケーキなんか......あーっ!!」


2人が目を離した隙に紀依ちゃんは冷蔵庫目掛けて走っていき、中から手作りのケーキを出し......床に落とした。


「こんなの...食べたくねえんだよ!」


――バリンッ!


皿が割れ、生クリームが床に飛び散った。


「紀依!今日という今日は許さないんだから!!」


母が紀依ちゃんのところに行こうとすると、紀依ちゃんは母に向かって皿を投げた。


「あんたなんか、母親でもなんでもない!育児放棄したくせに今さら母親ぶんな!」


母はしゃがみこみ、割れた皿を眺めた。


「紀依...!」


母の瞳には涙と共に怒りの感情が沸き上がってきていた。

それはもう沸騰寸前で今にも爆発しそうだった。

でも、母がそうなる前に紀依ちゃんが先に狂いだした。


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