二度目の初恋
「なんで紀依はあんな悪い子になってしまったの...?」

「依子...」

「全部あなたのせいよ!あなたの育て方が悪かったから紀依はああなったのよ!」

「依子...これは誰のせいでもない。紀依だって反抗期だから暴れているだけだ。その内落ち着くさ」

「落ち着くわけないでしょう?!私と由依が帰ってきてからずっとあの状態。私だってもううんざりよ!限界よ!」


母はそう叫ぶと側にあったワインを開け、まるで水を飲むようにごくごくと喉を鳴らした。


「依子よせ。そんなに飲んだら...」

「うるさいっ!あんな娘がいたんじゃ私だって気が休まらないわ!酒くらい好きに飲ませてもらったっていいじゃない」

「ダメだ。危険だ。もう止めるんだ」

「もう、黙ってよ!!」


母は休まず飲み続ける。

父は怒りをぐっと堪え、拳を強く握っている。


「依子、お前が原因なんだぞ」

「は?なんのこと?」

「紀依のことに決まってるだろ!紀依はずっと母親と離れて暮らしていた。自分は捨てられたと思い込んであんな風に拒絶するようになったんだ。紀依が今一番欲しいのは母親の愛なんだよ。なんで分からないんだ!」


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