二度目の初恋
わたしは布団を直すとターバンを装着し、洗面所に向かった。


「おはよ、紀依」

「おはよう」


最近紀依とは毎日挨拶を交わしているし、朝ごはんも一緒に食べている。

もともとツンデレだから、常に冷たい印象を受けるけれど、料理のことになるとわたしを上目遣いで頼ってくる。

そんな妹は可愛くてしょうがない。


「おっはよー」

「おはようお父さん」

「おはよ」

「日曜日なのに2人とも早いね」

「あたしは塾」

「わたしはピクニック」

「ほお...。2人ともお忙しいようで...」


わたしと紀依は顔を合わせてふふっと笑った。

お父さんは来週末部長と接待ゴルフだから、これから練習に行くらしい。

お父さんもお父さんで忙しいようだ。

紀依は無事にももかとひろくんと同じ高校に合格し、早速昨日から大学受験のために塾に通っている。

今年はわたしが人生の岐路に立つ年なのに、呑気にピクニックなんてどうかしてる。

でも、今日は何があっても行くんだ。

だって、やっとその時が訪れるのだから。


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