二度目の初恋
「由依...勘弁してくれ。なんでこんなことに...」

「はははっ。いいじゃん」


わたしが急に走り出したせいでわたしも悠永もつまずいて2人共坂をローリングしてきてしまった。


「悠永、ありがと。ちゃんとわたしのこと抱きしめてくれて」

「は、反射的にそうなっただけで...その...」

「今思ったんだけどさ、悠永、ぜんっぜんポーカーフェイスじゃないよね?だって今の悠永の気持ち分かるよ、わたし。悠永はすっごく照れてる。こんなわたしに照れてくれるなんて、感謝だね」


わたしはそう言うと、起き上がってぐーっと伸びをした。


「分かってない」

「ん?」


悠永も起き上がってきてそっぽを向きながら話す。


「由依はオレの気持ちの半分も分かってない」

「それは...ごめん。わたし昔からバカだから、分かんないんだよね」


悠永がわたしの方に顔を向け、わたしの瞳を見つめてきた。

この整った顔に見つめられると、無意識の内に呼吸が止まり、天に召されそうになる。

昔からカッコ良かったけど、それに男らしさとかたくましさとかが加わったから、ますますドキドキするようになった。


「分からないなら...由依にちゃんと分かってもらえるように伝える」

「うん、お願いします」

「お願いされたから、準備する。由依はちょっと待ってて。時間かかるかもしれないけど逃げないで」

「逃げるわけないじゃん。何を今さら。帰りだってちゃあんと自転車で送ってもらうんだから」

「はいはい」


悠永はわたしに飽きれ顔をお見舞いした後すぐさま少し遠くの方に歩いていった。

一体何をするつもりなのだろう。

ま、いいや。

じゃあわたしもあれを探そうかな。

わたしは悠永とは逆方向に向かっていった。

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