二度目の初恋
幼稚園の頃からアタシは知っていた。

ゆいぼんがいなきゃダメなんだと。

ゆいぼんの代わりになんて誰もなれないのだと。

それでもアタシは泰翔の背中を追い続けた。

そうでもしていなければ本当に何もかも失くなってしまいそうで、アタシの手の中に何も残らない気がして、アタシは泰翔を諦められなかった。

ゆいぼんがいないならアタシが泰翔を独占出来る。

アタシが泰翔と付き合える絶好のチャンスだ。

そう思って毎日一緒に帰り、サッカー部のマネージャーをやり、何度も何度も泰翔に視線を送った。

誕生日には泰翔の好きな青のTシャツやサッカーボールをプレゼントした。

バレンタインには友チョコと偽ったけれどチョコをわざわざ自宅に持っていった。

だけど...泰翔の視界にアタシは映らなかった。

泰翔の瞳はいつもどこか遠くにいるゆいぼんを探していた。

しかし、アタシは諦められず、遂には高校受験で泰翔と同じ立葵黎明を受け、木っ端微塵に打ち砕かれた。

それで本当にアタシは1人になった。

追いかける背中もない。

アタシの進学先には幼なじみがいない。

入学してから今までずっと孤独だった。

ずっと寂しかった。

同時に悔しくて悔しくて切なかった。

ゆいぼんが事故に遭わなければ...

ゆいぼんが記憶喪失になんてならなければ...

ゆいぼんが側にいてくれれば...

アタシがこんな辛い思いをすることも、

アタシが大好きな泰翔があんな悲しい顔をすることも、

泰翔が悠永を恨んで責めることも、

無かった...はず......なのに。

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