二度目の初恋
結果は過去最高だった。

俺の描いた交通安全ポスターは全国で入選、防火ポスターは全国の奨励賞、歯磨きのポスターは都の最優秀賞、貯金箱は都で銀賞になった。

毎週月曜日の集会で11月以降毎回体育館の壇上に上がっていたのは俺だけだった。

狙い通りゆいぼんはとても喜んでくれた。


「すごいね、ひろくん!いっぱいいっぱいがんばったんだね!」


そう言って素直に喜び、拍手をしてくれたゆいぼんの向日葵より眩しい笑顔は今でも忘れられない。

その一方で、怜奈は抱きついて喜びを表現してきた。

それはまだ許容範囲だったが、それを自分のことのように自慢されたのはさすがに応えた。

だから俺はゆいぼんのいないところで怜奈に厳重注意したのだ。


「怜奈が賞取った訳じゃないんだから色んなところで言いふらすなよ」

「ええ~、いいじゃん。ってか泰翔はそうしてもらいたいと思ってた。だって目立ちたいんじゃないの?」

「ちげーよ。俺は...俺はだな、自分の実力とその可能性を確かめるために応募したんだ。自己満足出来ればそれで十分だ」

「ふ~ん」


怜奈は合点がいっていないようだったが、俺が注意してからは自慢をするのをやめた。

お小言を言いはするけれど、聞き分けがいいのは怜奈の良さだと俺は内心思っていた。
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