二度目の初恋
夏休み中の制作については色々面倒なこともあったが、ヤツに完勝し、たくさんの賞と額縁と記念品を俺は手にした。

今でもそれらは俺の部屋の棚に飾られている。

しかし、俺がゆいぼんの心を手にいれることは出来なかった。

そんなの賢い俺にはとっくに分かっていたはずだった。

成績優秀、スポーツ万能、顔もそこそこイケメンの俺が幼なじみにいるというのに、ゆいぼんはいつもヤツの隣にいて良く笑っていた。

普段感情を表に出さないヤツを笑わせたのも怒らせたのも、そして泣かせたのもゆいぼんだけだった。

俺はそんなゆいぼんが好きだった。

誰かのために笑い、誰かのために怒り、誰かのために泣けるゆいぼんが好きで好きで好きで...たまらなかった。

だから俺は許せないんだ。

今でもヤツを許せない。

あの日ヤツがボールを飛ばさなければゆいぼんはあんなことに...。

あんな痛くて辛い思いをせずに済んだのに...。
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