二度目の初恋
「伽耶、ごめん。お待たせ」


私が不安の波に飲まれる前に待ち焦がれていた悠永がやって来た。

日頃のバイトや夜間の学校生活の疲れと叔父の家で肩身の狭い生活をしている心労からか、頬は少しこけ、クラスメートの男子と身長は大して変わらないけど、肩幅はなくすごく痩せて見える。

だけど、人目を惹く顔面、特にくりっとした二重の瞳が可愛らしくて私は幼い頃からずっとその瞳が好きだ。

悠永の瞳には私だけが映っていてほしい。

私はそんなどうしようもない独占欲の塊みたいな人間なんだ。


「伽耶、大丈夫?顔色悪いよ」

「部活で毎日吹きっぱなしだからかな、ちょっと疲れてるみたい。だけど大丈夫だよ」

「でも今日はいつもより早く帰った方が良い。体調崩したら元も子もないよ」


悠永が心配してくれたけど、私は微笑んだ。


「でも私、悠永といると元気になれるんだ。だから大丈夫だよ。それよりこれ。央慶大の過去問のコピーと対策プリント。あとね...確か...」


私はカバンから次々とプリントやテキストを出し、悠永に説明をした。

説明をしている間は嫌なことを忘れられる。

私は悠永に必要とされてるって思える。

だから、私にとってこの時間は生きてる心地がして明日も生きていいよと許可してもらえる大切な時間なんだ。

この時間を奪われたら私は生きていけない。

悠永が私の生き甲斐で悠永が私を作っているんだから。

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