二度目の初恋
私と悠永はコーヒーのお代わりを2回ほどし、カフェに3時間以上入り浸っていた。

さすがにそろそろ帰らないとレッドリストに登録されそうなので私達はカフェを出た。

悠永が家まで送っていくといってくれ、私はやっぱり胸がキュンとした。

普段は寡黙だけど真面目で正義感もあり、優しい。

空手や柔道を習っていたのは悠永の父親に勧められたからだと言っていた。

父親の魂や思いを受け継ぎ、ちゃんと私を守ってくれている。

そして弟の精神的支柱になっている。

悠永は本当に立派だと改めて思った。


「そういえば今度の土曜日私のコンクールなんだ。もし時間があるなら観に来ない?私の出番は13時頃なんだけど...」

「ごめん...オレ、バイトなんだ。終わってからでもいいなら行くよ」

「ううん、なら大丈夫。その気持ちだけで十分」


と強がったけど、内心はけっこうガッカリだった。

やっぱり晴れ舞台は好きな人に見てもらいたいし、私が演奏している時はこんなにも濁りきった私が唯一輝いている瞬間だと思うから。


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