二度目の初恋
私の感情が顔に出てしまったのだろうか。

悠永が私に提案してくれた。


「コンクールに行けない代わりに伽耶の行きたいところに一緒に行くよ」

「えっ?本当に?」

「うん。いつも伽耶には勉強とか色々お世話になってるからお礼したいし」

「どうしよう...。どこがいいかな?」


悠永と行きたい場所なんか有りすぎて選べない。

悠永と一緒ならどこでも楽しめるだろうし、何をしてても幸せなんだ。

だけど、私も悠永もあまり人が多い所は好きじゃない。

でも人がいなさすぎるのもなんか寂しいし...。

お家デートと言ったら私の家になってしまいそうだし、そうなると母親の目がギラギラ光っているからゆっくり出来ない。

うーん...。

適度な人とこの時期の屋外イベント...。

私が腕を組んで歩いていると、電信柱にぶつかりそうになった。

悠永が腕を引っ張ってくれなかったらぶつかっていたと思う。


「本当に疲れてるみたいだね。伽耶らしくないよ」

「ふふっ。そうだね。私どうかしてる」


ぶつかりかけた電信柱をちらっと見ると私の目にポスターが飛び込んで来た。

ポスターには豊星神社夏祭り開催の文字が踊っていた。

日時は8月10日午前11時から午後8時まで。

8月10日といえば......


「悠永、これに行こうよ。8月10日、悠永の誕生日だよ」

「あっ、本当だ」

「私は部活を午前中で切り上げて来れば行けるけど、悠永はバイトとか大丈夫?」

「オレもバイトを午前中だけにすれば大丈夫だよ」

「じゃあ、決まりだね。近くなのにあんまり行ったことなかったから楽しみ。いつぶりだろう?」

「オレは初めてだよ。楽しみだね」


良かった...。

これでまたひとつ2人だけの思い出を増やせる。

こうして着実に思い出を重ねていけばいつか大きな愛になるよね。

私はそう信じたい。

いや、信じるよ。

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